(愛媛県伊方町豊之浦)
天界の村とは、いわゆる山腹斜面上に形成される山岳集落にこと。私が集落を追っかけるようになったキッカケのテーマでもあります。
なのに海の佐田岬半島とはなんで?と思われるかもしれません。
画像のように中央構造線の南側にあたる西日本外帯山地が天界の村の集中するエリア。その中でも四国山地が飛び抜けて天界度が高いのですが、四国山地から九州山地にかけて稜線が延びている形になっている佐田岬半島にも天界の村が形成されています。今回は、その佐田岬半島シバリで歩きます。
佐田岬半島は日本一長い半島で直線距離で40km(海岸線だとその3倍はありそう)。上記のように急峻な地形のため、バスが運行するようになった1960年代まで「陸の孤島」と呼ばれていました。港を持つ大きな集落比較的南側に多いようですが、集落は南北両サイドの斜面にあります。
八幡浜を早朝に出発。夏は日が長いので多くの集落を訪ねることができる。しかし、暑さが朝っぱらから半端じゃない。今日は1日、日傘が欠かせません。
伊方町大浜集落から入ります。
早速現れました、伊予青石の石垣。佐田岬半島は変成岩の採れるエリアで、石垣石塀すべてが平べったい青石でできています。
青石の産地というのが、実は紀伊半島から四国を経て九州に至っている。つまり、中央構造線の南側に「三波川変成岩」という青石のエリアが線状に連なっているのです。
共同井戸がありました。この集落では一番の撮影ポイントかな。
大浜は佐田岬半島では比較的大きな集落でしょう。幅広の道もあって、立派な家屋も見られました。
もう一つ、目を引いたのがコンクリート打放しの建物。これがなかなかのモダニズムでして、型枠のあとが美しく風合いがいい!
伊方町の中心地である湊浦。深い湾の奥の港町。天界の村とは違い、町家系の建物が並びます。
洋館を配した家。
湾の反対側の川永田。ここにも立派な家が多い。
港町として、あるいは蜜柑で栄えたのでしょうか。
豊之浦集落。「浦」というからには港町っぽい名前ですが、港の周りには平場が少なく、崖の上の緩斜面に主体の集落が形成されています。
集落に中は縦道も横道も、一部を除いていずれもクルマは入れません。潔くモータリゼーションに対応していない集落です。
見事な鏝絵の家がありました。
佐田岬半島の稜線を跨いで北側斜面に移ります。長い半島の中央あたりかな。
伊予青石=三波川変成岩の平板積みの石垣。美しいですね。
さらに半島北側を西へ(半島先端方向へ)。海岸沿いの道は斜面の中腹をリアス式地形にしたがってクネクネ、しかもすれ違いできない箇所ばかりの細い道ですから、スピードが上がりません。
やっと着いた釜木集落を歩きます。しかしアチー!
回り込むと集落は思い切り斜面に駆け上がっているぞ。あそこまで登るんだぁ。
斜面下の神社の前あたり。いい感じでしょ。
さぁ登るぞ!
でましたバッテン積み。平べったい変成岩ならではの積み方です。これもまた美しい!
登ったぁ。眼下に港のある入江。そして対面の斜面中腹にも集落が形成されている。こうして見るとやっぱ天界の村でしょ。
半島先端に近い尾根上北斜面の串集落。
こんな町家っぽい家が向かい合った場所もある。
集落の大きさは比較的大きい方です。
串集落の町並み。石垣が綺麗に積まれていました。
北斜面を東へ戻って伊方町与侈集落。ここも大きい。しかし暑くて歩く気がしない。勿体無いけどやり過ごす。。。
半島北側海岸沿いの明神集落。旧三崎町らしく海辺に石垣積んだ小屋現れた。こりゃ、いくら暑くても歩かないわけにはいかん。
ひえぇ
うえぇ
高いところまで登りました。
最後は南斜面に戻って名取集落。ここは完全に山の中腹にあって、海岸沿いは崖です。
ここもほぼクルマは入れません。大きくていい集落です。
のぼれのぼれぇ
蜜柑農家が多いのかな。佐田岬半島の天界の村は、予測していた以上に1つ1つが見応えあり。クルマのは入れない細い道と変成岩の石垣が見事だからなぁ。半島にある集落は見ていないところもすべて良いでしょう。