
(熊本県御所浦島御所浦)
昨夜歩いた本渡の不思議な商店街は、やはり大火復興の街だった。1964/10/25未明に発生した火事は、中央商店街をほとんど焼き尽くしたという。

早朝スタートで、本渡の大火復興の街を歩く。まずは、中央銀天街というアーケード街から。
アーケード街の反対側へ振り返ると明らかに1964年以前と思われる町並みだ。大火復興の町並みは周りとの対比がポイントとなる。古い民家が残る街の中で、そこだけ昭和40年代という時代の純度が高い町並みが見られるのだ。

アーケード街の町並み。戦後昭和ですなぁ。

銀天街の一本西側の大通り。歩道上がアーケードになっていて、大火や戦災復興都市でよく見る防火建築帯のような建物が並ぶ。だが、統一されている訳ではないので、いわゆる防火建築帯ではないだろう。

諏訪神社の参道沿いの石塀。

祇園橋という石橋。

大通りから入ったところにモダンな建物が!一瞬映画館かと思ったけど、銭湯だね。背後に煉瓦煙突がある。

さて、本日の主題に取り掛かろうか。八代海に浮かぶ御所浦島と横浦島だ。昨日渡った鹿児島県の獅子島の北側にある。
御所浦島
天草上島の南東5km、御所浦町内有人3島の中で一番大きな島。御所浦とは、景行天皇の西国巡幸時に行宮が置かれたという伝説にちなむ地名だ。6集落が点在し、いずれも家が密集している。島の周辺には、養殖イケスが点在し、全国の離島の中でも屈指のタイとトラフグの養殖規模を誇る。温暖な気候を利用して甘夏ミカンを中心とする柑橘類の栽培も盛んである。地質的に歴史が古く、平成9年には島内の白亜紀の地層から国内最大級の肉食恐竜の歯の化石を始め草食恐竜の骨の化石やたくさんの貝の化石が発見された。「全島まるごと博物館」をテーマにした町おこしを展開中だ。古くはタタラ製鉄が行われていた地区もある。島の中央、標高442mの烏峠からの眺望が素晴らしい。(「シマダス」参照)

石垣石塀で知られる旧倉岳町棚底港から渡船が出る。
渡船はフェリーと高速艇があり、他の港からの渡船も合わせると割と頻繁に出ている。

8:10発のフェリー御所浦で渡った。画像は御所浦島の御所浦港。

港ではいきなり恐竜がお出迎えだ。なんで?
天草は地質が古いところだそうで、御所浦島では珍しい化石が発掘された。それもあって、島おこしとしてジオパークで売り出している。資料館ではとても詳しい展示がなされており、ガイドの方もいた。そっち方面に興味があればメチャ楽しいのだろうが、私は集落が目的である。

資料館の階段室から眺めた集落景観の方に惹かれる。

その集落を端から入っていく。このブログやサイトで散々書いていることだが、集落はメインストリートから入るのが鉄則である。メインの通りには大抵名主クラスの見応えのある古民家があるし、メインから主編へと順に歩くことで集落の構成を理解しやすくなる。

しかし、私はついつい端から入ってしまう。分かっていても治らぬ習性だと思っていただきたい。
集落は出来るだけ平地を造るべく、周囲を石垣やコンクリートの擁壁になっていた。

そして、メインの縦道(海岸線対して垂直)。

ほうら、立派な家が並んでるじゃないか。

曲がり角とお地蔵さん

屋根が見事な造りの家

御所浦港をぐるっと移動

するともう一つのメインの縦道があった。神社に行き着くので、この道が一番メインかな。丸石の石塀が続くお屋敷。

神社前の一角。

古いわけではなさそうだが、ガッチリと玄関を備えた大きな家が並ぶ。漁業で潤ったのだろう。

路地の風景。鏝絵の家があった。

御所浦地区から北へ3kmの嵐口(あらぐち)を目指してテクテク歩く。今年の夏は観測史上トップクラスの猛暑だそうで、かなりキツイ。途中、町営の図書館があったので一服して体を冷やした。
嵐口は斜面上の密集系漁村集落。

画像のような石垣があったりして中々良いが、時間がなく、くたびれているのもあって、全ての道を歩くことができなかった。

嵐口港から横浦島横浦港へ高速艇で渡る。
横浦島
天草上島の南1kmに位置する。魚類養殖業と海運業が盛んな島で、与一ケ浦と横浦の2集落に住宅が密集する。以前はカツオ釣り漁船の餌イワシの基地として賑わいを見せていたが、現在は養殖業への転換で一部を残すのみとなっている。春から夏にかけてエビ漁が最盛期を迎え、加工用・一本釣りエサ用として利用される。御所浦島とを結ぶ御所浦第二架橋(長さ900m)が平成12年度から建設着工している。(「シマダス」参照)

一見して家々が新しい。戦後に漁業で栄えた印象である。

同じような構えの家並み。

家の前には一軒一軒に恵比寿様が祀られていた。恵比寿様は漁業の神様である。

ちょっと変わった破風。なんでヌメッとしてるのかなぁ。

立派な造りの家が並ぶ。漁業で潤った感がここ横浦島にもある。

巨大な恵比寿様。

島を半周した与一ヶ浦地区。猛暑の中3km歩いてもうダメだ。集落をやっつけ的に歩く。


くたびれて解説文も思い浮かばない。

内海の干満の差が現れた突堤。
この後、まだ3ヶ所予定していたが、もう歩く気がしないので、早々と宿に入った。