(石川県輪島市舳倉島)
2019年夏、これから日本海に浮かぶ3島、石川県の能登半島輪島市沖にある「舳倉島」、新潟県の下越村上市沖にある「粟島」、そして山形県の庄内酒田市沖にある「飛島」を再訪します。それぞれ離れていますので、メッチャ長距離移動の旅となるでしょう。
舳倉島
能登半島の北端・輪島市の北海上約48kmに位置する。長卵形で海抜12mの平坦な島。厳しい自然の影響を受け、断崖が連なり複雑な入江をつくり出している。また、島は対馬暖流の影響下にあって好漁場であることから、海女を中心に輪島市内から季節的な島渡りの歴史は古く、「万葉集」には「沖つ御神」「沖つ島」としてアワビをとる珠洲の海女のことが詠まれている。島内からは、5世紀から8世紀にかけての当時の食糧となった魚介類や海洋性哺乳類の骨、祭祀に供されたとみられる牛骨などが出土している。また、式内社である奥津比咩神社からは青銅の海獣葡萄鏡発見され、抜海國との交渉を背景とする国家的祭祀場だった可能性が指摘されている。永禄年間(1558-70)筑前国宗像郡鐘ケ崎の海女ら12人が羽咋郡赤崎付近に漂着、その後輪島・光浦に移住し、天正年間(1573-92)加賀藩主前田利家の「のしあわび」を献上、舳倉島での漁業権を認められたと伝えられる。以来、漁業中心の生活が営まれ、海女漁によるアワビ・サザエ採取、ブリ・メバル・タイなどの刺網・一本釣が行われている。夏場の漁期には輪島市本土漁業者の渡島で人口は増加するが、冬季には十数人に減少するなど人口の変化が大きい。また、島全域が能登国立公園に指定されており、日本と大陸との間を渡る渡り鳥の大切な羽休めの島でもある。(「シマダス」参照)
舳倉島は石川県輪島市に属し、輪島港から「へぐら航路株式会社」の運航する定期船で渡ります。1日1便ですが、輪島港発着で舳倉島に4時間半停泊して戻るので、十分日帰り探訪が可能です。島には民宿もあるようですが、1泊して翌日天候悪化で船が出なかったりしたら大変ですから、日帰りが安心です。
切符を買ってから、市内の朝市で弁当の買い出し。栗ご飯を用意しました。島には食堂はありませんので。
定期船は、輪島港の漁業施設前で、漁船に混じって停まっていました。
新しい船です。20年前に乗った時は漁船に毛の生えたような船だった気がする。
至って海は穏やか。それでも能登半島から離れるにつれ波が高くなってきました。
輪島港から1時間25分。絶海の孤島、舳倉島に着きました。下船したお客さんで島関係者以外は4、5人かな。訪れる人は、バードウォッチング釣りが目的です。集落探訪などする人は私だけ。
平らな島の真ん中で一番高い場所に灯台があります。灯台を背景にした集落に入っていきます。
舳倉島漁港に面する小岩地区の家並み。
短冊形の敷地に、日本海のこの地域らしい切妻妻入の家々が並んでいます。この集落は、輪島市内の海士町(輪島漁港の西側の町)に住む漁師の別宅なので、町名も同じ海士町ですし、集落形態も似ています。
下見板張り総二階の家。
屋根は黒色の桟瓦葺です。そして共通要素でありユニークなのが瓦屋根の上に縄が置いてある事。元々は漁で使用していたツールでしょうが、屋根の瓦が強風で飛ばされないようにするための重石の役割を果たしているのでしょう。
船が浜に引き上げられて置いてある。
ひもの
雲がとてもキレイ
砂利の浜辺に家が建つ。これが舳倉島集落の特徴の一つ。
灯台を背にした集落。灯台が島の真ん中にある。平べったい島ならでは。
さぁ、今回初めて飛ばします新しいドローン機DJI Mavic2P
ro。スピード、バッテリー容量、安定感、そしてカメラ、どれをとってもMavic Air に比較して良い!遠くまで飛ばして島を撮ることは、バッテリーの持ち時間や電波の関係でAirではちょっとためらっていましたが、Proなら安心です。
小さく本当に平坦な島だ。そして絶海度が凄い。よくもここに集落が形成されたものだと改めて感心します。
小岩地区の家々の配置が放射状であることがよくわかる。
西邑地区の空撮。防波堤がない海岸すれすれの集落。
北ズラ地区。大きな船溜りに面した集落。この大きな船溜りに輪島からの船が入るのですから、漁業基地としていかに重要であるかがわかります。
ここで一服。港に日陰を作ってくれるあずまやがあり、弁当の栗ご飯を食べる。
西邑地区を歩きます。
空から見てもわかりましたが、防波堤がなく、砂利敷きの浜辺に家々が並んでいます。
このように石を積み上げて神様を祀っている場所が所々に見られます。安全祈願だそうです。
建物は切妻妻入、下見板張、黒瓦。主屋と付属屋で前庭を囲み、前庭は浜辺に連続する。屋根の上には縄が置かれている。
小岩地区へ戻り、反対方向の北ズラ地区へ歩いていきます。小岩地区の背後の丘上に小中学校の分校がありました。
法蔵寺。お寺も島に1つあって、ここも輪島の本寺の出先という大きさだ。
北ズラ地区の家。
船溜りの中にお社がありました。
北ズラ地区は比較的大きな家が多く見られます。民宿もありました。
前庭の一角にある祠。
北ズラ地区の町並み。
ちょうどお昼時。午前中の海人漁を済ませ昼飯を食べに家に戻ってくる方々が多くおられた。前庭にはウエットスーツが干してある。
北ズラ集落の端部。
島の北端の岬に恵比寿神社があります。ここにも「ケルン」とい石を積み上げた塔があります。これを崩したり石を持って帰ると不幸が起こると言われています。
恵比寿神社。石垣に守られたお社は海を向いています。ここからの海岸の風景は素晴らしいの一言。
舳倉島は何もない小さな島ですが、何度も訪れたくなります。